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2010年08月05日

北アルプス遠征、前穂高岳北尾根

北アルプス遠征、前穂高岳北尾根
【報告者】toku
【日 程】2010年8月5日(木)-9日(月)
【参加者】toku、ユジン、マミリン
【行 程】
●8月5日 移動 植木(自動車)19:00-基山PA20:00-
●8月6日 移動 -平湯8:50-上高地9:37-横尾(12:23-12:57)-本谷橋14:00-涸
沢16:11
●8月7日 前穂高北尾根アタック 4時起床
涸沢 5:00
X・Yコル入口 5:23
X・Yコル 6:28
X峰 7:17
W・Xコル 7:35
W峰 8:40
V・Wコル 9:10
1ピッチ 9:58
2ピッチ 10:33
3,4ピッチ 11:41
V峰 11:53
U・Vコル 11:53
U峰 12:10
T・Uコル 12:26
前穂高岳 12:47
吊尾根最低のコル 14:23
奥穂高岳 15:36
穂高小屋 16:28
パノラマ分岐 17:46
涸沢小屋 18:08
●8月8日 移動 5時起床 涸沢6:40-横尾9:00-上高地12:00-平湯12:50(昼
食・温泉)14:30−
●8月9日 移動 -基山4:00-植木5:00
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8月7日の登攀日のみの報告です。
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今年の夏の遠征は北アルプス穂高連峰、昨年は大キレットを初体験、今年はジャンダ
ルムと思っていたが、遠征参加のメンバーはキーボウ、ゼルプス、ますも、ユジン、
マミリンとクライマーばかり、前者三人は「屏風岩東壁 雲稜ルート」に取りつくと
か、残る三人もどうせならということで、ユジン、マミリン、私の三人は日本三大ク
ラシックルート?の一つである前穂高岳北尾根を登攀することになった。
IMGP0401sルート.jpg

写真 前穂高岳北尾根ルート

 3人とも行ったことが無いのでルートから難易度まで全く分からない、ネットで調
べるといろいろと報告されており大変参考になった。距離は長いがそれほど難易度は
難しくなさそうである。心強いメンバーもいるし、ルートの概要が頭に入った後はそ
れほど不安もなく挑むことができた。
上の写真は登攀後、穂高山荘からの写真である。赤いルートを登る。W・Xコルまで
は普通の登山道で登攀はW峰から始まる。
 前置きが長くなりましたが報告です。

IMGP0178s.jpg

写真 前日の乾杯 期待と不安を胸に

 前日はおいしいお酒もほどほどに早めの就寝、5時にはスタートできるように4時
起床とした。真っ暗の中、洗面などに行くと、すでにヘッドライトの光が涸沢雪渓を
登って行くのが見えた。5時スタートであれば早い方かと思ったが上には上がいると
思った(後でわかったが自分たちのパーティが最後だったようだ)。食事を済ませ登
攀用具と行動食をザックに詰め軽量な荷物でスタート、涸沢雪渓は最初ほぼ水平で歩
くのもアイゼン無しで十分であった。だんだん勾配が出てきたところで左側の岩場に
踏み跡が見えてくるのでそこをトレースする。

IMGP0210s.jpg

写真 雪渓の途中から涸沢テント場を見下ろす。

IMGP0213s.jpg

写真 X・Yコルへの目印

涸沢の標高2300mからずいぶんと登ったように見える。岩場の踏み跡をしばらく行く
とX・Yコルへの登りを知らせる文字がペンキで岩に書いてあった。
今日はモルゲンロートが見られるほどのいい天気に恵まれたからX・Yコルが見えて
いたので迷う心配はないが、ガスっていたらこの目印が役に立つのだろう。
 ここまでも、かなり登ってきたが、ここからさらにこう配が急になる。一歩一歩と
高度を稼いでいく。ユジン君はずいぶんと先に行っている。マミリンさんは登りがき
つそうだ。一面に咲く花を眺めながら写真を取りながらもコルが近づいてきた。涸沢
を眺めるとずいぶんと下になってテントは米粒のように見える。

IMGP0199s.jpg

写真 穂高岳のモルゲンロートと涸沢雪渓

IMGP0224s.jpg

写真 X・Yコルまでの途中の花畑

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写真 X・Yコルからの涸沢

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写真 X・YコルからX峰を眺める

 X・Yコルからの眺めも最高である。遠く南の方には富士山も頭を覗かせている。
しばし景色を堪能しながら小休止、ハーネスをつけたり行動食を取ったりと登攀の準
備をする。

IMGP0244s.jpg

写真 X・Yコルからの富士山

IMGP0250s.jpg

写真 X峰への登り

いよいよ登攀開始だがX峰は普通の登山道と変わらないところを登っていく、40分ほ
どでX峰をのぼりつめた。途中「氷壁」の舞台にもなった奥又白池も見えた。

IMGP0252s.jpg

写真 奥又白池

IMGP0256sルートs.jpg

写真 X峰から眺めたW峰(赤い線がルート)(右が涸沢側、左が奥又側)

IMGP0259s.jpg

写真 W・Xコルまでの下り

 X峰からW峰の眺めである。コルまでは普通に降りていける。ネットなどの報告を
見ると浮き石だらけで一番緊張するところだとの書き込みが多かった。登り的にはそ
れほど難しくなく、一手一手、岩を確認しながら登っていく。大きな岩もぐらつくこ
とがあり注意が必要だ。初めは涸沢側の方が登りやすそうだ。登るルートはどこでも
登れる感じで、中腹までは特にここがルートというところもないようである。写真の
赤い線が登ったルートである。ロープと書いてあるところ1か所でロープを出した。
IMGP0265消えかかった矢印.jpg

写真 涸沢側から奥又側への矢印

 ほぼ尾根沿いに登りやや涸沢側にルートを取り、しばらく行くと消えかかった赤い
矢印が奥又側を示している。そこから奥又側へルートを取り、踏み跡を進む。ハーケ
ンが何か所も打ってあるが登攀用ではないようである。

IMGP0269s.jpg

写真 W峰でロープを出した場所

 矢印からしばらく行くとルートが分からなくなった。奥又側にはハーケンが打って
ある場所があるがかなりの高度がありロープ無しでは行けそうにない。涸沢側を見た
がよくわからない。どん詰まりのくぼみの岩にはホールドもあり登れそうである。し
かし、ここもザックを担いで登山靴で進むには厳しそうである。ユジン君が保険で
持ってきたクライミングシューズで突破し、上からロープを出してくれた。ザックを
上げロープで確保してもらい登る。5.7か8くらいだったが登山靴でしかもゲレンデで
はないので緊張した。ここを抜ければW峰のピークはすぐそこだった。W・Xコルか
らW峰ピークまで約1時間かかった。後で確認したら、この場所は涸沢側に抜ける
ルートがあったようである。

IMGP02803峰ピッチ.jpg

写真 V峰のルート

いよいよ核心のV峰である。ルート的には2級から3級なので、たいしたことはない
が初めてのルートということでどこを通っていくかがよくわからない。ネットの写真
を参考に目星をつけていたが、先行パーティがいたので一目瞭然だった、安心したよ
うな残念だったような感じである。先行パーティが3グループほどいたので、V・W
コルで30分ほど休憩である。行動食を取ったり、ロープの準備をしたりですごす。
少し風も強くなってきたのでレインウェアを取りだす。
 先行パーティも2ピッチ目に移ったので取りつくことにする。1ピッチ目はリード
をさせてもらう。特に難しいところもなく登山靴でスムーズに抜けることができた。
もう少し上の方に広いテラスがあるようだったが40mほど登ったところで、先行
パーティがいたので、ピッチを切ることにする。マミリンさん、ユジン君の順で登っ
てきてもらった。
 ふと下を見ると一人で登ってきている人がいる。ここまでだと一人でもいいけど、
V峰はどうやって登るのだろうかと思った。涸沢のテント場も小さく見える。

IMGP0287s.jpg

写真 V峰2ピッチ目

 2ピッチ目はユジン君のリードである。2ピッチ目もいろいろとルートがあるよう
だがチムニーは崩壊中との情報があったので、チムニーの左側のクラックを通過す
る。ここも難しいところはなく、ルートが分かれば何のことはない。チムニーを過ぎ
たあたりが広いテラスになっている。ここまで約30mである。セカンドにマミリン
さん、ラストに私が登った。
 3ピッチ目はユジン君、マミリンさん、私の3人が並んでコンテで進む。普通に歩
いて登れるところだ。
 最終4ピッチ目、ピークの右側をまけばロープ無しでも行けそうな感じであった
が、せっかくなので難しいルートをユジン君リードで取りつく。約10mと短いが、
このルートの中で一番難しいかなと思ったところである。それでも5.8はないくらい
のところだった。ただ、大きな浮き石があって、それに触れないので難しく感じたの
かもしれない。

IMGP0295s.jpg

写真 V峰4ピッチ目

 V峰ピークまでV・Wコルから約2時間かかった。3人パーティならまずますかな
と思う。V峰ピークに立つとすぐにU峰が目の前に見える。U・Vコルはないような
ものであった。V峰ピークに立った時ここでV峰が終わりなのにもう1ピッチ登らな
ければならないのかと思ってしまった。それくらいすぐそこにU峰がある。X峰から
V峰まではそれぞれのコルからの高度差が約100mほどだがU峰から先は20mくら
いしかないように見える。

IMGP0297s2峰.jpg

写真 U峰

 U峰のピークまでは3人のコンテで進む。U峰からT・2コルまでは5mくらい、
ロープで確保しクライムダウンで通過する。

IMGP0299s1・2コル.jpg

写真 U峰ピークから1・2コルを眺める

T・Uコルから前穂高岳山頂まではロープ無しで進むことができる。いよいよ山頂と
いうことで、ものすごい充実感を感じながら、これでもう終わりかというさみしさを
感じながらピークをめざした。山頂では一般登山の人が5,6人いた。私たちが登山
道と違うところから出てきたのでちょっとびっくりしていたようだ。

IMGP0311s.jpg

写真 前穂高岳山頂 お疲れ様でした。

山頂に着き、ユジン君と固い握手をして、感動と達成感を分かち合った。山頂につい
て3人で記念写真を取り、お昼ごはんを頂いた。涸沢から約8時間を要したがほんと
に充実したクライミングだった。
IMGP0313s.jpg

写真 最高の眺めとビール(^v^)
 
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写真 槍ヶ岳

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写真 涸沢カール

天気に恵まれ山頂からは360度の大パノラマを眺めることができる。遠く北の方に
は去年上った槍ヶ岳もはっきり見える。眼下には涸沢も見え、西には穂高岳、東の方
には常念岳や蝶ヶ岳、前日歩いてきた上高地からの登山道もみえる。南には明神岳や
上高地が見渡せた。南西寄りには、今回の遠征で行く予定だったジャンダルムも目前
に見ることができた。

前穂高岳パノラマ.jpg

写真 前穂高岳から北方のパノラマ


 1時間ほどのんびりと昼食を取り、十分に景色を堪能した後、穂高岳へ向けて出発
した。紀美子平を目指して下る。吊尾根を通り穂高を目指すが、だらだらと続く登り
はきつそうだ。

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写真 吊尾根

 穂高岳へ着いたら多くの登山者がいた、前穂高岳は登山者が少なく、しばらく3人
の貸し切り状態だったが、百名山のひとつでもあり、穂高連峰の中心ともなるとずい
ぶんと人気も高いものだ。山頂での記念撮影にも順番待ちができるほどである。

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写真 穂高山頂

ここからもジャンダルムを眺め、次はあそこに登ろうと思いつつ穂高山荘を目指す。

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写真 ジャンダルム

 穂高山荘手前の下りもかなりの急こう配で鎖があったが、ちょっとしたクライミン
グであった。

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写真 穂高山荘手前の下り

穂高山荘からは前穂高北尾根の登ってきたところをはっきりと見ることができる。よ
くあんなところを登ってきたなあと感動をよみがえらせた。

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写真 北尾根

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写真 穂高山荘での休憩

涸沢をめざし、長い下り道を延々と下って行った。

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写真 穂高山荘下の雪渓

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写真 ザイテングラードの花畑

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写真 延々とつづく下り道

涸沢小屋に着いたのは日が沈みかける午後6時だった。涸沢を出発して13時間、マ
ミリンさん、ユジン君、本当にお疲れ様でした。パーティのメンバーにも恵まれ快適
なクライミングでした。涸沢小屋について飲む生ビールは最高でした。

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写真 涸沢小屋

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ユジンさん感想

前穂北尾根は、最初の印象より苦労が多かったです
事前訓練をしてなかったのでアプローチの荷物が重たかった、体力があればあの一帯
を気持ち良く歩けるのになぁとつくづく感じるので少しずつ戻していきたいです(こ
の気持ちを忘れずに)北尾根は頂上に立つまで緊張感もありました、くだりで真横か
ら全体像を見たとき、よくのぼったと思いました。今回、昼も夜も天気に恵まれたの
で景色を堪能できました、もうちょい体力があればもっと余裕があったはずです、足
とお腹が痛くなり同行のtokuさんマミリンさんには沢山助けられました、感謝してま
す、また一緒に縦走しましょう!!

マミリンさん感想

初めての北アルプスは不安だらけ。ガイドブックや地図を見てもイメージがわかな
い。でも、とにかく一度行ってみなくちゃわからない。上高地に着いた時、何度も何
度も本やテレビで見た河童橋〜穂高の山々が目に飛び込んできた。

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写真 河童橋

北アルプスに着いたっていう実感〜(^^)v やっとの思いで着いた涸沢の雪渓、小屋
のテラスから見る風景、登山客の賑わい、カラフルなテント、楽しい夕食に美味しい
ビール、寝転がって見る満天の星空…何もかもが新鮮で感動でした。

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写真 涸沢のにぎわい

2日目の北尾根の向けての登りではなかなか足が進まずにずいぶん待ってもらったけ
ど、tokuさんの励ましで何とか5・6のコルに着いた時はほっとしました。

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写真 X・Yコルまでの登り

見上げるほどの岩を登れるかな〜って不安もよぎったけど、ユジンさんの安定した
リードで何の不安もなく浮石に気をつけながら1歩1歩慎重に登りました。その高度
感や風景、晴れ間に見えた槍ヶ岳、すべてが私の脳裏に焼きついています。
前穂高山頂に着いた喜びと達成感も束の間、それからの長い長い歩きに穂高岳山荘へ
たどり着く頃にはヘトヘトになり、軽い高山病の為か楽しみにしていたご褒美のビー
ルが飲めなかったのは心残りだけど、無事にテントにたどり着いた時には安堵感と二
人に感謝の気持ちで一杯でした。
天気に恵まれて雄大な景色とお花畑に癒されて何より仲間に助けられて最高の北アル
プス初体験でした。
posted by asobow at 00:00| バリエーション