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2015年08月17日

黒部源流域周回

【報 告 者】島地瓶
【日   時】2015年8月17日〜21日
【参 加 者】島地瓶

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≪行  程≫室堂〜雷鳥沢〜五色ヶ原〜スゴ乗越〜薬師岳〜黒部五郎岳〜三俣山荘〜雲ノ平〜薬師沢〜太郎平〜折立
≪ 報 告 ≫
8月17日 熊本〜富山〜室堂16:00ごろ〜雷鳥沢16:30

 熊本駅へタクシーで向かい、新幹線に乗る。博多で乗り換え、新大阪から特急サンダーバードを利用。北陸新幹線が開業したため、金沢から再び新幹線。琵琶湖沿いの景色は学生時代に度々見ていたので懐かしさを覚えた。新しくなった富山駅で下車し富山地鉄に乗り換える。地鉄のある建物の地下はスーパーになっていて利用価値が高い。このビルには好日もあった。
 美女平では既に雨が降り始め、「せめて小止みになって」という思いも虚しく、冷たい雨が降る室堂へ。ターミナルで上下雨具を着けて雷鳥沢へ降った。
 テントを張る段階から風が強く、テントが飛びそうになる。暗くなるとともに雨脚が強まり、叩きつける雨でテント内が水浸しになった。手ぬぐいで吸い取って、外に捨てる作業を繰り返し、夜半まで気が休まらなかった。

18日 霧 雷鳥沢4:10 五色ヶ原8:30 スゴ乗越14:17

 あまり寝られなかったのでさっさと撤収して一ノ越へ向かう。暗いと取り付きがわかりづらい。前日のうちにある程度確認しておいてよかった。雨はやんだものの終始ガスの中。まだ山に慣れていないため荷物が重く感じる。縦走路は一ノ越〜龍王岳、獅子岳と続くが、何も見えず、特に面白いものはない。五色ヶ原山荘で15分ほど休んでスゴを目指す。越中沢岳への登りは幅の広い砂礫の道。晴れていれば気持ちよかっただろうと思う。
 越中沢岳〜スゴ乗越小屋間は北アルプスの中でも地味ながら疲れるパートとして知られる。岩場の多い急下降で鞍部に降りたかと思うと、スゴの頭までの登りは何度も脚が止まるほどの急坂。スゴ乗越までコースタイムの3分の2ほどのペースで何とか進むが、小屋までの登りでシャリバテになりペースダウンした。
 小屋でカレーを注文して平らげた後、小屋泊にするかテント泊にするか悩んだが、テントを選択。ぐしょぐしょのテントも徐々に乾いてきて、思ったよりも快適だった。

19日 晴れ スゴ乗越小屋4:20 薬師峠8:30 黒部五郎小舎14:30

 薬師岳までは登り一辺倒だが、傾斜はさほどでもない。北薬師への登りで単独行の青年に抜かれる。縦走で人に抜かれることは殆ど無いのでかなり悔しい。前日はロッジくろよんから一ノ越に登りスゴ乗越小屋までだったという。なんという猛者。北薬師から薬師岳への稜線は岩が累々としており、高山の貫禄がある。天気は快晴とは言えないものの、雲ノ平や槍ヶ岳まで見え、上々といったところ。富山側には雲海が広がり、その先には白山が見えた。

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 薬師岳には若者や中高年、家族連れなどが続々と登ってきており、一挙にメジャー山域に入った感がある。これぞ夏山といった賑わいが今までのわびしい道のりとは対照的。薬師峠で水を補給して後半戦に入る。雲は多いが日差しが強くなる。北ノ俣への登りが意外と遠く感じた。黒部五郎岳までのコースタイムはなかなか短縮できず、結構厳しかった。
左手に薬師沢や赤木沢の源頭を見ながら進み、中俣乗越で休憩。黒部五郎への登りに臨んだ。このあたりの情景は大学時代の記憶が残っていなかったが、歩いているうちに色々と思い出すところがあった。黒部五郎へは石だらけのだだっ広い急坂をじっくりと登る。前を進むパーティーを何とか捉えようと意地で登っていくと、肩に出た。皆ザックをデポして山頂をピストンする。カメラだけ持って軽やかに岩場を登りつめた山頂で朝方追い抜かれた青年と再会した。

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 黒部五郎小舎へはカールコースをとる。黒部五郎カールは本山行の目的地の一つだった。曇ってはいたが、ダイナミックな景観や雪解け水、人家サイズのボルダーなどを堪能できた。小舎へはダラダラとした道が続くが、草原の中に建つ黒部五郎小舎は最高のロケーションだ。テント設営後小屋の前で他の登山客と今後の天候の話などをして過ごした。

20日曇一時雨 黒部五郎小舎5:00 三俣山荘6:45〜7:10 雲ノ平山荘9:28〜9:50 薬師沢小屋11:33〜12:02 太郎平14:15 折立16:30

 当初の計画では雲ノ平テント場までの予定だったので同じテン場の人々の中でも最後に近い5時スタート。予報通りのどんよりとした空が広がっている。樹林を抜け、ハイマツ帯を進むと三俣蓮華岳のピークを通る道と黒部側をトラバースする道に分かれる。迷わずトラバースを選び、三俣山荘に到着。トイレ休憩して黒部源流へ下る。黒部源流から雲ノ平への登りはハエがまとわりついてきて不快だった。祖父岳との分岐あたりで雨がポツポツ降り出し、幕営指定地の手前からは本降りとなる。

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ここへ来るまでに、天気を勘案して読売新道へ進むのを諦め、雲ノ平を抜け、折立方面へ進むことを決めていたので、テント場には行かず、小屋を目指す。瀟洒な雲の平山荘で休憩しつつ、初めて訪れる雲の平の景色を眺めた。雨模様なのが残念極まりない。薬師沢を目指して出発した。木道を歩いているとワンゲルの学生が何パーティーも登ってきた。
草原から徐々にハイマツ帯になり、針葉樹林帯となるあたりで木道は終わり、急な下りが始まった。話には聞いていたが、この区間の滑りやすさは尋常ではない。どんなにしっかりと石に靴を接地させても体重を乗せると簡単に弾かれて尻もちをつく。スメアリングが全く効かない。指で石の表面を触ってみると、サラサラとした泥の粒子で覆われていて、踏ん張りが効かないのも当然といった感じだった。そうこうしていると、雨がやみ、日差しすら出てきた。自分の決断は間違いだったとのではないかと、もやもやした気持ちになる。
そして、ハシゴ場を下り黒部川の河原に飛び出した瞬間だった。エメラルドグリーンの流れ、白い両岸の岩、緑の木々、薬師沢小屋が吊り橋とともに建つ光景が目に飛び込んできた。ここは4年前の夏、上ノ廊下を遡行してたどりついた思い出の場所。これこそがこの山旅の本当の目的地だったのではないか。不意にそんな思いがこみ上げてきた。
小屋前のテラスで休憩していると再び曇ってきて、感動の時間は見る間に過ぎ去っていった。ザックを背負い、太郎平へ出発。途中まではカベッケヶ原とよばれる低い笹に覆われた疎林。薬師沢の支流をいくつも渡りながら快適に進めるが、最後は階段登りが連続し、小雨もぱらついてきた。苦手な階段で我慢の行程を強いられ、最後にようやく太郎平の開放的な木道に辿り着いた。小屋周辺はガスがかかっているが、多くの登山客で賑わっている。
赤木沢を登ってきたというパーティーが「今日のうちに下っておかないと明日は本降りですよ」と言うので、薬師峠で幕営せずに下山を敢行することに決定。傾斜自体は緩いが、ゴロ石を木で囲った登山道はスピードが出しにくく意外と疲れた。
折立キャンプ場は登山道から有峰林道に出てすぐの場所で、小学校のグラウンドほどの広さの芝生。トイレと水場がある。無料。学生パーティーと北海道から来た夫婦がテントを張っていた。これで翌日の天気を心配することなく夜を過ごせる。夜中も小雨が降り続いたが全く気にならなかった。

21日 小雨 折立 有峰口 富山 熊本

雨脚は大したことないが、山の上の方はガスに覆われている。のんびりと起きだし、散策しながら8時半のバスを待った。朝一で太郎平から下ってくるよりも優雅というものだろう。富山に降りてきて駅の近くで寿司を食べ、帰途についた。

感想と反省 学生時代を含め、縦走のコースは主稜線を優先するあまり、雲ノ平に行ったことがなかった。これは数年来の懸案で、同時に、4年前の黒部川遡行で通過した奥黒部ヒュッテを再訪したいという希望と組み合わせて今回の計画となった。結果的には天気が悪く、無理に読売新道を通っても楽しくはないだろうと、コース変更した。初日から天気の心配ばかりで会心の山行には程遠かったが、薬師沢小屋のあたりでは大きな感動も得られた。読売新道を登りで使いたくなかったことと、黒部ダム〜奥黒部ヒュッテ間で行動日1日を使うのがもったいないと思い、今回の計画となったが、もとの計画だと最終日に5〜6時間行動した後アルペンルートで大町に出て帰るという強行軍で、スケジュール的に余裕がないという問題があった。平の渡しがどうしてもボトルネックになるので、次回計画する時は最初にこの区間を消化するようにしたい。また、近年テント内の浸水被害に遭っていなかったため、軽量化を優先し、ビニール袋や防水生地のスタッフバッグをケチってしまい、対策がおろそかになっていた反省点も残った。

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(概念図)

posted by asobow at 00:00| 縦走